一般的に、睡眠時間は7時間ほど取ると良いといわれていますが、しっかり睡眠時間を取っても疲れが取れていないと感じることはないでしょうか。なぜ十分寝たつもりでも朝に疲れが残ってしまうのでしょう。
今回は、寝ても疲れが取れない原因や疲れが取れないときの疲労回復方法、間違った休息方法について紹介します。
寝ても疲れが取れないときの症状
そもそも、寝ても疲れが取れないとは、どのような状況を指すのでしょうか。例えば次のような症状があれば、寝ても疲れが取れていないサインになります。
- 仕事や勉強に集中できない
- 考えが回らず思考力の低下を感じる
- 気だるさや体の疲れを感じる
- 日中に強い眠気を感じる
- 朝起きたときに体のだるさがある
などです。
寝ても疲れが取れない原因
7時間など十分な睡眠時間を取っていても疲れていると感じたことはありませんか。しっかり寝ても疲れが取れない状態が6ヶ月以上続いている場合は、慢性疲労の可能性があります。慢性疲労とは疲れが長引いている状態のことです。
それでは、なぜ寝ても疲れが取れなかったり、慢性疲労になったりしてしまうのでしょうか。疲れの原因は、精神的疲労、神経的疲労、肉体的疲労の3つに分けることができます。
精神的疲労
精神的疲労とは、心が疲れてしまうことです。職場や家庭での人間関係の悩みや、自身で抱え込んでいる悩みごとなどが要因となって精神的疲労となります。特に現代は、SNSを利用する人も増えていることから、情報過多やネット上の人間関係での気疲れから精神的な負担を感じる人が多いようです。
神経的疲労
神経的疲労とは、視神経や脳が緊張状態になることで起こる脳の疲れをいいます。脳は何もせずにぼんやりとしているときですら活動しており、かなりのエネルギーを消費しているのです。
最近ではスマートフォンなどの普及もあり、さまざまな情報に触れ、さらに脳が酷使される機会が増えています。スマートフォンやPCを使いすぎると、膨大な情報処理のために常に脳が忙しく働いている状態になるため、疲れを感じやすくなります。
肉体的疲労
肉体的疲労とは、筋肉の緊張が続いたり、筋肉を動かしたりすることで起こる体の疲れです。激しい運動や立ち仕事によるもの、夜勤によるもの、などがあります。
肉体的疲労が発生するのは、筋肉を動かすエネルギーが足りなくなったり、疲労物質である乳酸が蓄積したりするためです。
激しい動きをすることでも肉体的疲労は溜まりますが、デスクワークのようにあまり体を動かさない状態でも肉体的疲労は蓄積されます。同じ姿勢を続けることで筋肉が緊張し、乳酸が溜まっていくためです。
以上、精神的疲労、神経的疲労、肉体的疲労の3つの疲労の種類について説明してきましたが、これらは単独で表れるのではなく、密接につながっています。放置するとさらに疲労が重なってしまいますので、適度に疲労回復を図ることが大切です。
寝ても疲れが取れないときの疲労回復方法
寝ても疲れが取れないときの疲労回復方法を、食事、運動、お風呂、睡眠、気分転換の5つの観点から紹介します。
【食事】バランスの良い食事を摂る
毎日の食事の見直しが、疲労回復には必要です。炭水化物、脂質、タンパク質のほか、ビタミンやミネラルなどを意識して、1日に必要な栄養素を含んだ食事を心がけましょう。
疲労回復のためには、食事から摂取する成分も意識すると良いです。
例えば、鶏の胸肉に豊富に含まれるイミダペプチドは、酸化ストレスを軽減して疲労を改善する効果が期待できます。1日の目安量は200~400mgです。鶏の胸肉の量に換算すると、1日100g摂取すれば十分な量を取り入れることができます。
酸っぱい食べ物に多く含まれるクエン酸も疲労回復が期待できる成分です。ただし、一度に大量に摂取してもすぐに排出されてしまうため、1日3回ほどに分けて摂取すると良いでしょう。クエン酸は、レモンやお酢などに多く含まれています。
エネルギー転換を高め疲労回復を促すなら、ビタミンB1やビタミンB2などのビタミンB群も欠かせない成分です。ビタミンB1は豚肉やうなぎ、ビタミンB2はレバーや卵などに多く含まれます。タマネギやニラなどに豊富に含まれるアリシンは、ビタミンB1を効果的に吸収してくれるので、一緒に摂取すると良いでしょう。
食事で補いきれない栄養素については、サプリメントや漢方薬で摂取する方法もあります。疲労回復なら、ビタミンB1やL-カルニチン、αリポ酸、鉄分などのサプリメントがおすすめです。
【運動】軽めの有酸素運動やストレッチ・ヨガをする
デスクワークなどで筋肉が緊張して血行が悪くなることも疲労につながると説明しました。疲労を蓄積させないためには適度な運動が必要です。
軽めのウォーキングなど体への負荷が少ない運動を意識して取り入れてみましょう。運動することで血流が改善し、疲労物質を排出する効果が期待できます。
さらに、血流が良くなれば、筋肉への酸素や栄養の供給が促され、疲労回復効果をも早めてくれるでしょう。体を軽く動かして疲労回復を促すことを、積極的休養ともいいます。
【お風呂】ぬるめのお湯に浸かる
疲労回復にはお風呂もおすすめです。お風呂による入眠の効果を高めるには、就寝する1時間から2時間くらい前に入浴します。熱めのお風呂ではなく、38~40℃くらいの少しぬるいと感じるお風呂に浸かると良いです。
入浴はリラックス効果があるほか、入眠の1~2時間前に入浴することで発汗が促され、ほど良く深部体温を下げます。副交感神経系を優位にして寝つきを良くできるでしょう。
【睡眠】睡眠の質を良くする
疲労回復のためには睡眠の改善にも取り組んでいきましょう。まずは、十分な睡眠時間を確保することです。目安は7時間程度といわれていますが、自分に合った適切な睡眠時間が取れていれば問題ありません。ベッドに入る時間や就寝時間を決めて計画的に睡眠時間を確保しましょう。
さらに意識したいのが睡眠の質です。PCやスマートフォンが放つ光は脳の覚醒を促してしまうので、寝る前にPCやスマートフォンを使用するのは止めましょう。睡眠の1時間前を目安に、読書などの入眠モードに切り替えると良いです。
視神経は光に反応してしまいますので、遮光カーテンなどを利用して寝室を暗くするのも睡眠の質を高めるのに効果的でしょう。光が漏れてしまうときは、アイマスクなど光を遮断できるアイテムを活用するのもおすすめです。
また、睡眠時の服装も睡眠の質に関係してきます。寝苦しくなって睡眠の質が落ちないよう、着心地の良いパジャマを着て寝ると良いです。
【気分転換】リラックスする習慣をつける
小さな気分転換も疲労回復にはおすすめです。気分転換やリラックスできる時間を増やしてストレス解消や疲労回復に努めましょう。
音楽やカラオケ、映画鑑賞や運動など、自分の好きなことをすることで気分転換になります。軽い運動やストレッチ、アロマなども取り入れてリラックスできる状態を取り入れましょう。マインドフルネスといって、瞑想により心のバランスを調整する方法もあります。
【NG】間違った休息方法
寝ても疲れが取れないときの疲労回復方法について紹介してきましたが、疲労回復になりそうな方法に思えても、逆に疲労回復を妨げてしまうような方法も存在します。疲労回復のために避けるべき行動には何があるのでしょう。
ここでは、間違った休息方法を3つ取り上げます。
甘いお菓子を食べる
疲労回復のために甘いものを口にするのはおすすめしません。甘いものは血糖値を急激に上昇させた後に急激に下降させるため、気分が不安定になりやすいです。イライラを感じたり、疲労を感じたりすることもあります。
休日に家でゴロゴロする
休日にゴロゴロして過ごすことは、実は疲労回復には良くありません。体を動かさずにじっとしていると疲労が増す可能性があるとされているためです。
これは、日中に十分に日光を浴びずに家で過ごすことで、体内時計のリズムが崩れてしまうことが影響しています。
体内時計のリズムが乱れると、活発なときに働く交感神経と、休息時に働く副交感神経の切り替えがうまくいきません。夜に熟睡できず、睡眠不足で疲れを引き起こす要因にもなります。
週末・休日に寝だめする
週末や休日に寝だめするのも良くありません。休日にゴロゴロするのと同じく、体内時計のリズムを崩す原因になるためです。夜に熟睡できず、睡眠不足に陥ってしまいます。
まとめ
寝ても疲れが取れないのには原因があります。まずは原因を突き止め、疲れを増やさない生活を心がけましょう。この記事でも紹介した疲労回復方法を試すのもおすすめです。