試験や仕事のことが気になって、疲れているのに寝付けない…。考え事をしていて、眠りたくても眠れないときは本当につらいものです。
実際のところ、寝つきが悪い人は多くいます。厚生労働省の調査によると、「寝つきに時間がかかった」人は全体の28.7%を占めており、眠れないという悩みを抱えている人が全体の3割近くに上っています。
出典:「令和2年度 健康実態調査結果の報告」(厚生労働省)
この記事では、こうした寝つきに悩みを抱えている方向けに、眠れない原因や眠れないときの対処法を紹介します。
考え事で眠れないのはストレスが原因
眠れない原因の多くは、ストレスにあります。ストレス自体は仕事や学業、子育て、人間関係など、日常のさまざまな場面で感じるものです。
しかし、ストレスを抱えすぎると「あのとき、~すれば良かった」といったような思考が止まらなくなり、その結果、心身ともに十分な休養が取れなくなってしまいます。
心理的なストレスを抱えると寝つきが悪くなるのは、ホルモンの働きによるものです。
ストレスが多いと、入眠をうながす「セロトニン」「メラトニン」といったホルモンの分泌が減り、「コルチゾール」というストレスなどから体を守るホルモンが分泌されます。
コルチゾールが分泌されると体が活発に動く状態になるため、体はリラックスできず、入眠が阻害されてしまうのです。
ストレスによって睡眠不足になると、さらにストレスを溜めこみやすくなる悪循環に陥ってしまいます。
入眠を妨げるストレスを緩和して考えをすっきりさせる方法
先述したように、ストレスは睡眠の大敵です。ここでは、こうしたストレスを緩和してゆっくりと眠る方法を紹介していきます。
方法1.呼吸を意識する
人はストレスが溜まると、呼吸が浅くなります。呼吸が浅くなると脳や体に酸素がいきわたらないため、ますます緊張して眠りにくくなってしまいます。
そこで効果的なのが、寝る前に呼吸を整えることです。鼻からゆっくり息を吸い、ゆっくりと息を吐いてみましょう。こうして深呼吸したり腹式呼吸をしたりすることで副交感神経が優位になり、リラックスしやすくなります。
また、呼吸を整えるときには、リラックス効果のあるアロマを焚くのもおすすめです。ラベンダー、マンダリン、カモミールなどのアロマには、リラックス効果があるといわれています。
眠れないときの呼吸法についての詳細はこちらでも紹介しています。
「眠れないときは呼吸法!自律神経を整えてぐっすり眠ろう」
方法2.思考を後回しにする
どうしても思考が止まらないときは、無理にかき消そうとしてはいけません。考えをなくそうとすればするほど、アイデアや心配事、解決策が頭の中で回り続けます。
同じ考えが何度も出てきて、結局考えが進んでいないと思ったら、思い切って後回しにしてみましょう。「朝起きたら考えよう」と一旦、頭の中を空っぽの状態にできれば、睡眠を妨げにくくなります。
もちろん後回しにしたことは、後で取り組むのを忘れないようにしましょう。
方法3.考えを書き出してみる
自分が考えていることをノートなどに書き付けて、アウトプットしてみましょう。内容はポジティブなことでもネガティブなことでも、思いつく限りの内容で構いません。思考のすべてをノートなどに書くと、考えが整理されて不安が鎮まることがあります。
考えを文字に起こすときは、昔ながらの紙とペンがおすすめです。スマートフォンやタブレットのほうが使いやすいという方は、メモ帳のアプリなどに入力しても構いません。ただし、寝る前に強い光を浴びると寝つきが悪くなるため、使いすぎは避けましょう。
方法4.親しい人と話す
自分の悩みだからといって、ひとりで抱え込むのは逆効果です。考えがまとまらないときは、パートナーや家族、友人と話すのがおすすめです。
問題解決の糸口は見つからなくても、悩みを誰かと共有することで不安の解消につながります。
とはいえ、人に話したくない自分の悩みやその原因は、無理に伝える必要はありません。悩みとまったく関係ない会話でも、その時間は悩みから頭を解放することができるからです。あくまでただ話して聞き、会話を楽しむことを意識しましょう。
方法5.無理のない範囲で運動する
考えがまとまらないときは、軽くでも良いので運動してみましょう。ウォーキングやジョギング、水泳といった軽い運動でも、考え事をしながらすることはなかなかできません。運動に集中すれば、頭をすっきりさせられるでしょう。
また、運動によって身体を適度に疲れさせると、眠りに入りやすくなります。特に効果的なのが、ウォーキングなどの軽い有酸素運動です。有酸素運動は血行を良くしてくれるため、普段から通勤や通学時間などを利用して20分ほど歩く習慣をつけてみましょう。
一方であまり激しい運動をしてしまうと、交感神経が刺激されて眠りにくくなります。日中や夕方はウォーキングやジョギング、就寝前はストレッチやヨガ、ピラティスなどがおすすめです。
考え事をせずに入眠するには生活習慣を整えることも重要!
快適な入眠・質の高い睡眠には、生活習慣を整えることも重要です。ここでは、入眠をスムーズにする生活習慣の作り方について紹介していきます。
長時間の昼寝は避ける
考え事をしていてストレスが溜まると、睡眠が不足する傾向にあります。かといって日中に長時間眠ってしまうと夜に眠れなくなり、さらなるストレスを生んでしまいます。
昼寝は20分程度ならOKですが、長時間の昼寝は逆効果です。どうしても眠い場合は、12時から14時頃の眠くなる時間に15分~20分程度眠るのが良いでしょう。
就寝2時間前までには食事を済ませる
食事の後は満腹中枢が刺激されて眠気を感じますが、胃や腸などの消化器官は消化のために動き続けます。そのため、食後すぐに寝てしまうと眠りが浅くなってしまいます。
夕食は、就寝2時間前までに済ませましょう。そして、就寝前に食事をするときは、おかゆやうどんといった消化の良いものを選びましょう。
就寝90分前に入浴を済ませる
人間は、体の深部体温が下がっていくとともに眠気を感じます。深部体温は入浴すると上がり、その後ゆっくりと下がっていくため、終身90分前には入浴を済ませておくのがベストです。
また部屋の室温を涼しくしておくと、深部体温が下がりやすくなり寝つきが良くなります。ただし体温が下がりすぎると体調不良につながる可能性もあるため、空調の風が当たらないようにするなどの工夫が必要です。
就寝前のカフェイン・アルコールは控えめにする
考え事によってストレスを感じると、自律神経が乱れ、交感神経が優位になるため眠りにくくなります。
カフェインは交感神経を刺激し、眠気を阻害する効果があるため、考え事をしているときに摂取してしまうとさらに目が冴えてしまいます。カフェインの摂取は、午前中だけにしておくのが良いでしょう。
また、アルコールには寝つきを良くする効果もありますが、眠っている最中に目覚めやすくなるという側面もあります。眠れないときの助けにはなりますが、酔うほど飲んでしまうと睡眠の質は低くなってしまいます。アルコールは1~2杯程度に抑えておきましょう。
まとめ
考え事が多くて眠れないという症状は、ストレスが大きな原因になっています。現代は職場・学校・家庭といったさまざまな場でストレスを感じやすいため、心身が休まりにくいことも影響しています。
ストレスを緩和するには、考えを整理したり、いったん頭を休めたりするのが効果的です。具体的には呼吸を意識する・思考を後回しにするといった方法があります。
快眠には、生活習慣を整えることも大事です。長時間の昼寝や寝る直前の食事・カフェイン・アルコールは避け、就寝90分前には入浴しておくのがおすすめです。