「最近疲れが取れにくい……」と感じてはいませんか?体調が優れない原因は、もしかしたら食事にあるのかもしれません。今回は、疲れが取れないと悩む方に向けて、疲労回復におすすめの食事や栄養素をご紹介します。
疲れが取れないのは食事が原因?
疲れが取れない原因には、さまざまな理由が考えられますが、その1つが『食生活の乱れ』です。
食生活が乱れるとエネルギー不足になり、疲れがたまりやすくなります。また、人間のエネルギー生産には糖質が必要不可欠ですが、栄養不足になると糖代謝がスムーズにすすみません。
結果的に脳にエネルギーが行き届かず、疲れを感じやすくなったり、精神的な疲労が現れたりしてしまうのです。
また、栄養素はどれか1つばかりを摂取しても最大限の効果を得られません。互いに関係し合っているので、バランス良く摂取することが大切です。
疲れが取れないときにおすすめの食事は?
実際に栄養素に優れた食事とは、どのようなものなのでしょうか。疲れが取れないときにおすすめのメニューを、栄養素の詳細とともにお伝えします、
ビタミンB1が豊富なメニュー
まずは、ビタミンB1について詳しく見てみましょう。
ビタミンB1とは
ビタミンB1とは、糖代謝に必要な栄養素であり、ストレスや疲労からの回復を促す役割を担っています。糖質中心の生活を送っていると、不足しやすい栄養素です。
ビタミンB1が不足すると糖質がエネルギーに変換されないため、疲れやすくなります。
ビタミンB1が豊富な食材
・豚肉(脂肪の少ないヒレやモモがおすすめ)
・うなぎ
・レバー
・玄米
・ナッツ
・大豆
・きのこ
献立作りのポイント
おすすめの調理方法は、ビタミンB1の吸収を助けるアリシンが豊富な、ネギやニラ、ニンニクと一緒に調理することです。
一緒に炒めていると食欲をそそる香りに仕上がります。暑さで体調を崩しやすい時期に、夏バテ防止メニューとしてもおすすめです。日頃ご飯やパンなどの糖質多めの食生活を送っている方は、積極的に取り入れてみてください。
クエン酸が豊富なメニュー
続いて、クエン酸についてです。
クエン酸とは
クエン酸は、エネルギー代謝に必要な成分です。クエン酸によってエネルギーを生み出す仕組みはクエン酸回路(TCA回路)といい、アミノ酸などを原料としてエネルギーを作っています。
また、スーパーなどでもよく見かける、機能性表示食品にも用いられている栄養素でもあります。
酸と呼ばれる名前の通り、クエン酸の含まれている食材は、おおむね酸っぱい食べ物に多く含まれています。酸味は食欲増進にも効果が期待できるため、食欲の落ちているときには頼りになる食材となるでしょう。
また、クエン酸はカルシウムをはじめとしたミネラルの吸収を助けるキレート作用を持っています。慢性的な疲労や精神疲労、季節的な疲労にも効果が期待できるでしょう。
クエン酸が豊富な食材
・梅干し
・レモン
・みかん
・オレンジ
・グレープフルーツ
・キウイフルーツ
・イチゴなど
献立作りのポイント
梅干しは、肉や野菜と一緒に調理するさっぱり煮や、副菜に使用するのがおすすめです。
また、果物は食後のデザートやドリンクであれば、調理せずに手軽に摂取できるでしょう。ビタミンCやカリウムなども合わせて摂れるのがうれしいですね。甘みと酸味が程よく爽やかな味わいであるため、食欲がないときにも摂りやすい食材です。
食用のクエン酸は市販されており、野菜のぬめり取りや煮崩れ防止にも役立ちます。レモンやお酢の代わりとして使用するのもおすすめです。
夏バテには、辛みと酸味の組み合わせで食欲増進が期待できます。山芋やオクラ、なめこなど、消化を助けるネバネバ食材との相性も良いので、一緒に摂ってみてください。
イミダゾールジペプチドが豊富なメニュー
あまり耳馴染みのないイミダゾールジペプチドについてもご紹介します。
イミダゾールペプチドとは
イミダゾールペプチドとは、近年注目されるようになった成分です。マグロやカツオ、鯨など、長時間動き続ける動物の筋肉に含まれています。
活性酸素による身体の酸化を抑え、疲労回復に役立つと言われています。イミダゾールペプチドが含まれる食材には、たんぱく質や鉄、ビタミンB1なども含まれているため、複数の栄養素を合わせて摂取できるのが魅力的です。
イミダゾールペプチドが豊富な食材
・鶏むね肉
・カツオ
・マグロ
・牛肉
・豚肉 など
おすすめの献立
イミダゾールペプチドは水溶性であるため、スープでまるごと食べるのがおすすめです。鶏であれば、むね肉を使ったスープやシチュー、鶏鍋、水炊きなどが調理も簡単で取り入れやすいですね。ヘルシーな料理にも活躍します。
疲れが取れないときにおすすめの外食・コンビニメニュー
体調が優れず、疲れているときには自炊を大変に感じることもあるかと思います。そんなときは無理をせず、外食やコンビニを活用しましょう。調理や片付けの手間を減らし、休息を優先することも心と体にとって大切です。
外食やコンビニで買う際に、疲労回復におすすめのメニューはこちらです。
・幕の内弁当(一食で栄養バランスが整い、メニュー選びの面倒がない)
・魚料理の定食(焼き魚や煮魚は脂肪が少なく、不飽和脂肪酸も摂取できる)
・五目あんかけうどん(多彩な食材で栄養バランスが良く、消化吸収が早い)
・梅おにぎり(クエン酸を摂取でき、塩気と酸味が食欲を刺激する)
・カットフルーツ・冷凍フルーツ(手軽にビタミン、ミネラル、クエン酸が補給できるデザート)
最近では、コンビニメニューも栄養にこだわった商品が豊富になってきました。自炊と外食、コンビニメニューをうまく併用し、体調を整えてくださいね。
疲れが取れないときの食事の取り方
疲れがなかなか取れない場合には、食事の取り方を工夫してみましょう。おすすめの方法をいくつかお伝えします。
栄養バランスを意識する
栄養素は互いに関係し合って働くため、バランス良く摂ることが大切です。炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素を意識し、まんべんなく食材を献立に組み込んでいきましょう。
具体的なイメージとしては、主食と主菜、副菜、汁物が一緒に摂れる定食のようなスタイルです。
最近では、栄養ドリンクやエナジードリンクのようにカフェインの含まれた飲料を多く目にするようになりました。
しかし、これらは一時的に目が覚めエネルギーが湧く感覚になるかもしれませんが、疲労回復への効果が認められているものではありませんので、頼り過ぎは禁物です。
また。甘いお菓子もほどほどにしましょう。急上昇した血糖値が下がる際、また糖質をエネルギーに替える際のビタミンB1の大量消費によって疲れを感じやすくなります。
疲れたときにはつい飲みたくなってしまうお酒も、適量を守ってください。
アルコール自体は血のめぐりを良くし、疲労回復も期待できますが、過剰なアルコール摂取も分解時に大量のビタミンB1を必要とします。ビタミンB1は疲労回復に欠かせない栄養素なので、気をつけましょう。
1日3食の生活リズムを整える
疲労回復のためには、毎日できるだけ決まった時間に、1食ずつ、計3食を食べるのがベストです。
食事のリズムが整うと、体内の代謝もスムーズになります。リズムの整った食事は、血糖値の上昇と下降も決まった時間に行われるため、身体や内臓に負担をかけにくくなります。
ちょこちょこ食べる習慣は避けましょう。食事の回数が多いほど身体もこまめに代謝しなくてはいけません。また、睡眠中の胃への負担を和らげるために、就寝前の約3時間は食事を控えるようにしましょう。
しっかり噛んでゆっくり食べる
内臓の疲れを普段意識することはありませんが、疲労感を感じているときは内臓も疲れているので、食欲が低下することがあります。胃に負担をかけない消化吸収の良い食事を摂ることが大事です。しっかりとかみ、ゆっくり食べましょう。
まとめ
食生活が乱れ、栄養バランスが偏ると疲れやすくなり、逆にバランスの良い食事を意識すると疲れが取れやすくなるなど、食事は体調に大きな影響を及ぼしています。せっかく口にするのであれば、身体にとってより良い効果が期待できる食べ方で摂取したいですね。
最近体の疲れを感じている方は、ビタミンB1やアミノ酸、イミダゾールペプチドなど、疲労回復に効果が期待できる食材を料理に取り入れましょう。その際、この記事で紹介したおすすめの食材や調理方法を、ぜひ参考にしてください。