飲み会が終わって帰宅した後に、就寝の準備はできていても、すんなりと眠れないことがあるでしょう。なかなか寝つけないと、翌日の仕事や予定に影響が出てしまいます。
飲み会の後によく眠れない人は、睡眠に悪影響のある行動やお酒の飲み方をしている可能性が高いです。飲み会前後の行動やお酒の飲み方を変えれば、改善できるかもしれません。
ここでは、飲み会後に眠れない主な原因と眠れないときの対処法を解説していきます。
飲み会後に眠れないと感じる原因
飲み会後になかなか眠れないときのよくある原因について見ていきましょう。
アセトアルデヒドによって睡眠が浅くなるから
お酒を飲むと、アルコールが代謝される過程でアセトアルデヒドという物質が発生します。アセトアルデヒドは有害物質で、覚醒作用があるのが特徴です。
また、体内に入ったアルコールはすぐにアセトアルデヒドに変化するわけではありません。2~3時間程度経過してから変化します。飲み会が2時間程度で、帰宅して床に就くまでが1時間程度なら、ちょうど眠ろうとするタイミングでしょう。
アルコールがアセトアルデヒドに変化する前なら、すんなりと寝つけることもあるかもしれません。しかし、寝ている最中にアセトアルデヒドが発生するため、睡眠が浅くなってしまいます。夜中に目が覚める原因にもなるでしょう。
いびきをかきやすくなるから
アルコールには筋弛緩作用があるのも、飲み会の後に眠れないことに関係しています。筋弛緩作用があると、舌根が下がって気道が狭くなり、いびきの原因になることが多いです。これにより、睡眠時無呼吸症候群を起こしている可能性もあります。
睡眠時無呼吸症候群の場合、体内に取り込まれる酸素の量が減ってしまい、同時に二酸化炭素の量が増えていきます。
二酸化炭素は覚醒作用があるのが特徴です。そのため、どうしても就寝中に目覚めやすくなってしまいます。
アルコールの利尿作用によって目が覚めやすいから
お酒を飲むとトイレに行く頻度が高くなる人は多いでしょう。アルコールには利尿作用があるため、飲み会の最中や直後はどうしてもトイレが近くなってしまいます。
帰宅後に寝つけたとしても、途中でトイレに目覚めてしまうこともあるでしょう。
トイレに行く回数が増えるのは、水分を排出しているためです。体内から水分が奪われれば、睡眠の質が下がってしまいます。
睡眠に影響しにくいお酒の飲み方
飲み会のときに、お酒の飲み方を少し工夫すれば睡眠への影響を抑えられます。では、どんな工夫をすればいいのか見ていきましょう。
適度な量で飲酒する
飲み会の後に眠れなくなる人は、お酒を飲む量が多すぎるのかもしれません。適度な量にとどめておけば、睡眠に与える影響も小さく抑えられます。
どのくらいが適度な量なのかよくわからない場合には、厚生労働省で定めている節度ある適度な飲酒量を参考にしてみると良いでしょう。
厚生労働省では「1日平均純アルコールで20g程度」を適度な飲酒量と定めています。
たとえば、ビールなら中瓶1本程度、日本酒なら1合程度です。アルコール7%のチューハイなら350ml、ウイスキーならダブル1杯程度で、純アルコール20gになります。
出典:「アルコール」(厚生労働省)
早めに飲み会を切り上げる
1時間に分解できるアルコール量は「体重×0.1g程度」です。体重が60キロの人なら、20gのアルコールを分解するのに3時間半程度かかります。
そのため、就寝時間の3~4時間前にお酒を飲むのをストップしておくのが理想です。そうすれば、寝るときまでにアルコールがほぼ代謝されています。
アルコールを分解できる量が体重に比例することから、小柄な人は飲酒量をより少なめにしておくのが望ましいでしょう。特に女性の場合には、男性と比べてアルコールの分解速度が遅いため注意が必要です。
同時に食事をとる
空腹の状態でお酒を飲むと、アルコールの吸収速度が速くなります。胃腸や肝臓などにも大きな負担がかかり、あまり良いことはありません。そのため、お酒を飲む際には、食事も一緒にとりましょう。
とくに、飲み会ではたんぱく質を含む食べ物を摂るようにしましょう。たんぱく質が含まれている食品は消化に時間がかかるため、アルコールの吸収も穏やかにしてくれます。肝臓の働きを高めてアルコールの分解を促進するので、睡眠の質の低下を防げるでしょう。
また、お酒を飲むとビタミンやミネラルが身体から失われやすくなるため、野菜類などの食べ物を積極的に摂ることも大切です。
たくさん水を飲む
お酒を飲むとアルコールを分解する際に、体内の水分が使われるため、水分も十分に摂取しましょう。水分を摂らないと脱水症状を引き起こしてしまうこともあるため注意が必要です。
水を飲むと胃の中のアルコール濃度が薄められて血中アルコール濃度も下げられます。アルコールが睡眠に与える影響も抑えられるでしょう。
水分補給の際に、冷たい水や氷水などを飲む人もいるかもしれません。これらの飲み物は脱水症状を防止したり、血中アルコール濃度を下げたりできます。しかし、冷たいと胃腸に刺激を与えてしまうため、常温の水か白湯がおすすめです。
お酒を飲んで眠れないときに避けたい行動
飲み会の後に眠れないときでも、次のような行動は控えるようにしましょう。
お風呂に入る
一般的に入浴は睡眠の質を高めるのに効果的ですが、飲酒後の場合にはリスクがあるため注意が必要です。入浴で身体が温まり、血行が良くなるため、アルコールが回りやすくなります。不整脈や血圧の変動を起こす可能性もあるでしょう。
お風呂に浸かったまま眠ると溺れてしまう危険性もあるため避けたほうが良いです。
まだ酔いが覚めていないときには、湯船には浸からずシャワーのみで済ませておきましょう。
運動する
運動をすると筋肉に血液が集まります。しかし、飲酒後は血液を内臓に回して、アルコールの分解をしなければなりません。飲酒後に運動をすると十分な血液が内臓に集まらなくなってしまいます。
その結果、アルコールの代謝が遅れてしまう可能性があります。それに加えて、運動すると血液循環が良くなり、酔いも回りやすくなって危険です。
飲み会の後に運動をするのは避けましょう。
睡眠薬を飲む
飲み会の後に眠れないなら、睡眠薬を飲もうと考える人もいるかもしれません。しかし、アルコールと睡眠薬を同時に飲むのは危険です。
ふらつきや物忘れなどの副作用を起こしてしまう可能性もあります。いびきの悪化や睡眠時無呼吸などのリスクもあるため、飲み会の後に睡眠薬は飲まないようにしましょう。
酔いが覚めた後でも睡眠薬を飲むのは避けた方が無難です。酔いが覚めたように思えても、アルコールがまだ完全には分解されていない可能性もあります。
寝酒をする
睡眠導入剤としてアルコールはおすすめしません。寝酒で寝つきが良くなるように感じられますが、悪影響の方が大きいです。
覚醒作用や利尿作用により夜中に目が覚めてしまいます。眠りが浅くなるため、いったん目が覚めてしまうと再び眠れなくなってしまう可能性もあるでしょう。
寝酒の習慣ができてしまうと睡眠のリズムも乱れがちです。アルコール依存症につながるリスクもあるため注意しましょう。
まとめ
飲み会の後は体内でアルコールの代謝が行われます。その影響で、眠れなくなることも多いです。飲み会の後にスムーズに眠りたいなら、飲酒量を抑えて早めに切り上げるようにしましょう。
適量の飲酒で3~4時間程度経過すれば、アルコールが代謝されて、飲酒の影響は小さくなります。帰宅後は運動などをせず、お風呂もシャワーだけで済ませて床に就くようにしましょう。