お昼や晩ご飯の後になぜか眠くなる方も多いのではないでしょうか。時おり起こるのではなく、毎日のように食後の眠気に悩まされると、「どこか体調が良くないのではないか」と不安になってしまいます。
そこで今回は、ご飯を食べた後に眠くなる理由と、眠気の改善方法を紹介していきます。
ご飯を食べた後に眠くなるのなぜ?
満腹になった直後に眠気がくるのはなぜでしょうか。とくにお昼ごろに急激な眠気がきてしまうと集中力の低下やモチベーションの低下につながる可能性が高いです。食後に眠気がくるメカニズムを知って対策をしましょう。ここでは、ご飯を食べた後に眠くなる理由を紹介します。
血糖値の変化
眠気の理由のひとつに血糖値の変化があげられます。血糖値とは血液内に含まれる『ブドウ糖』の濃度のことです。炭水化物などを摂取すると体内でブドウ糖に変わり、血液に流れます。
ブドウ糖が血液に入ると血糖値は上昇し、体内では『インスリン』と呼ばれるホルモンが働き出します。そしてこのインスリンが血糖値を正常な状態に変換してくれるのです。このインスリンの動きが『高血糖症』を防いでくれています。
一方、空腹状態が続くと血糖値が必要以上に低くなり『低血糖症』と呼ばれる状態に。その際に食事を摂ると低くなった血糖値を高めるために、交感神経系が作用して意識低下や昏睡を招くといわれています。
このような状態は身体に悪影響です。健康な人でも見られる現象ですが、程度が大きい場合には注意が必要です。
出典:血糖値|e-ヘルスネット
オレキシンの分泌量
オレキシンというのは脳の食欲中枢にある脳内物質のひとつです。オレキシンには覚醒作用があるため、分泌が盛んに行われれば、脳が覚醒して活発に活動できます。一方でオレキシンの分泌量が減ると、眠くなるといわれています。
そして、オレキシンは血糖値が上昇すると分泌量が抑えられなくなるといわれており、ご飯を食べた後は血糖値が上昇するため、眠くなってしまうのです。
副交感神経が優位になるため
副交感神経は、心や身体をリラックスさせます。一方で消化器官だけは活発に働く仕組みです。逆に交感神経が優位なときには、脳や身体が活発に働き、消化器官は休みます。
このことから、食事後に食べたものを消化するために副交感神経が優位になるといわれています。それが原因で眠気の症状が現れているかもしれません。
ご飯を食べた後に眠るのは良くない?
食後に急激な眠気が来ると、ついつい寝ようと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、食後に横になって眠るのは良くないといわれています。この項目では食後の睡眠が良くないといわれる理由を解説します。
食べたものがスムーズに消化されなくなる
身体が起き上がっている状態だと、胃の下の方に腸が位置しているため、食べたものが胃から腸へスムーズに運ばれます。しかし、身体を横にして寝ると、胃と腸は水平方向の位置関係になります。そのため、食べたものがスムーズに運ばれません。
本来なら腸へ運ばれるはずのものが、長時間胃の中にとどまってしまい胃もたれを起こしてしまうこともあるでしょう。ひどい場合には逆流して胸やけしてしまう可能性もあります。
食後に眠気がきても、2時間程度は横にならないようにするのが無難です。椅子に座るなどして身体を縦の状態にしましょう。
脳が血液不足になる
食後は消化器官が活発に働きます。そのため、体内の血液は消化器官に集まり、脳の血液が不足する可能性があります。
意識がはっきりしている状態であれば大きな問題はありません。しかし、脳への血流が減少している際に眠ると脳内が血流不足に陥り、脳卒中のリスクが高まるといわれています。
睡眠の質が低下しやすくなる
脳や身体を休めている間も、消化器官は活発に働いています。そのため、一見するとぐっすり眠れたように思えても、実際には睡眠が浅いといわれています。普段から食後すぐに眠る生活を続けていると、身体の疲労が蓄積する可能性があります。
ご飯を食べた後に眠くならないようにするためには
ご飯を食べた後に、眠くならないようにするためには次のようなことを習慣づける必要があります。
糖質の高い食事はできだけ避ける
糖質の高い食事ほど、食後の血糖値の変化が激しくなります。そのため、糖質の高い食事を避けることで、ご飯を食べた後の眠気を防止できるでしょう。
たとえば、丼もの・ラーメン・パスタ・うどんなどは炭水化物が中心で、糖質が高いです。これらの食べ物を食べる機会が多いかもしれませんが、食後の眠気を抑えたい場合には、できるだけ避けましょう。
なるべく、タンパク質や食物繊維を多く含む食事をするのが望ましいです。主に肉類・魚介類・豆類などにタンパク質が多く含まれます。食物繊維は海藻やきのこなどに豊富です。
丼ものや麺類を食べるときでも、食物繊維を含む食べ物と一緒に食べることで、糖質の吸収がゆるやかになります。その結果、血糖値の上昇も抑えられ、ご飯を食べた後でもあまり眠くならないことが多いです。
また、満腹まで食べるのではなく、腹八分目にとどめておくのも心がけましょう。満腹になると血糖値の上昇幅も大きくなります。腹八分目なら、血糖値の急激な変動を避けられるでしょう。
食べ方で改善する
食べる順番を工夫することでも、ご飯を食べた後の眠気を防止できます。お腹が空いていると、つい主食から食べたくなるかもしれませんが、できるだけ野菜から食べるようにしましょう。
そうすることで、野菜に含まれる食物繊維が先にお腹に入るので、後からご飯や麺類を食べても、糖質がゆっくりと吸収されます。
また、早食いをせずにゆっくりと食べるのが望ましいです。丼ものや麺類でも、ゆっくりと食べれば、糖質の吸収は遅くなります。
またゆっくり、よく噛んで食べることで、少量でも満腹感を得やすくなります。つい満腹まで食べてしまい、腹八分目までに抑えるのが難しいと感じている人にも、ゆっくりと食べるのがおすすめです。
睡眠不足にならないようにする
普段から十分な睡眠を取れていれば、食後の眠気も抑えられることが多いです。睡眠時間が少ないと感じている人は、しっかりと睡眠を取るように心がけましょう。
ただし、休日にまとめて睡眠を取る「寝溜め」はあまり良くありません。寝溜めでトータルの睡眠時間を補っても、睡眠不足の解消にはつながらないことが多いです。なるべく1日7時間程度、最低でも6時間は睡眠時間を確保するようにしましょう。
また、睡眠不足にならないようにするには、時間を確保するだけでなく質も重要です。たとえば、寝る前に強い光を浴びることで体内時計が乱れて睡眠の質が低下することがあります。
アルコールも睡眠の質を低下させることが多いです。寝る前にお酒を飲むと、睡眠中に体内でアルコールが分解され、その際に発生するアセトアルデヒドという物質が睡眠を妨げます。
そのため、寝る前に強い光を浴びたり、お酒を飲んだりするのはできるだけ避けましょう。
まとめ
ご飯を食べた後に眠くなるのは、血糖値の急変動やオレキシンの分泌量などが原因といわれています。健康的な人でも起こることです。しかし、そのまま横になって眠ってしまうと、消化がスムーズにいかなくなったり、睡眠の質が低下したりするため注意しましょう。
一方で、糖質の高い食事を避けて野菜から食べ始めるなど、食事を工夫することで、食後の眠気を抑えられます。そして、普段から睡眠不足にならないようにしておくことが大切です。