「夜はきちんと寝ているのに午後には眠くて仕方がない」という経験をした人は多いでしょう。眠いとパフォーマンスを十分に発揮できなくなるのが問題ですが、なぜ午後になると急に眠気に襲われるのでしょうか。この記事では、午後に眠くなる原因と、眠くてたまらないときの対処法や根本的な解決方法を紹介します。
午後に眠くなる原因は?
もともと午後は生理的なリズムで眠くなりやすいものです。1日のうち、起床から8時間後と22時間後の2回が眠くなるタイミングで、最初のタイミングがちょうど午後の時間帯になります。
しかし、少しどころか我慢できないような強い眠気が現れる場合には、血糖値の急激な上昇や睡眠不足、病気などが原因となっていることもあります。それぞれ、なぜ眠気が起こるのか、理由を詳しく見ていきましょう。
【原因1】血糖値の急激な上昇
昼食をとったら眠くなるという人は、食事による血糖値の急激な上昇が要因かもしれません。
糖質の多い食事をすると、血糖値が急激に上昇します。すると、糖をエネルギーに変え血糖値を正常な状態に戻そうとして、大量のインスリンが分泌されます。インスリンが分泌されると、今度は血糖値が急激に低下して、低血糖状態になります。
この血糖値の乱高下によって、食後に強い眠気やだるさなどが生じるというわけです。
特に食べ過ぎや早食いをする傾向がある人は、血糖値の急激な上昇が起こりやすくなります。
【原因2】睡眠不足
睡眠時間が足りず寝不足の状態の場合も、日中に眠くなります。睡眠時間を十分確保しているつもりでも、睡眠の質が悪く、よく眠れていないこともあるのです。
夜寝ていても途中で目が覚めてしまう人や、朝すっきり起きられない人、日中頭が働きにくいと感じる人などは、良い睡眠がとれていない可能性があります。疲れやストレスが溜まっているときも、眠りにくくなることが多いです。
また、PCやスマートフォンを寝る直前まで使っていると、光の刺激によって睡眠の質が悪化し、睡眠不足に陥ってしまうので注意しましょう。
【原因3】病気
病気が原因で午後に強い眠気が現れるケースもあります。
午後の眠気の原因となる代表的な病気は、睡眠時無呼吸症候群です。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に一時的に呼吸が止まることを繰り返す病気で、無意識に低酸素状態と覚醒を繰り返すため熟睡できません。そのため、日中の眠気に悩まされやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群は大きないびきをともなうことが多いので、いびきを指摘された経験がある人は気をつけたほうが良いでしょう。
また、ほかにも日常生活が困難になるほどの強い眠気を起こす過眠症や、うつ病による睡眠障害などの場合にも、日中に我慢できないほどの眠気に襲われることがあります。
午後に眠いなら仮眠しよう!上手な仮眠のとり方は?
午後の強い眠気対策には、眠くなくても先に仮眠をとっておくと良いです。この仮眠は、戦略的仮眠や計画仮眠とも呼ばれ、あとで眠くならないようにする手法です。
仮眠は脳の疲れをとり午後のパフォーマンスを上げる方法として世界でも注目されています。働く環境を整える一環として、仮眠の時間やスペースを設ける企業も見られるようになりました。
ただし、仮眠は長くなりすぎるとスッキリ起きれなかったり、夜の睡眠に悪影響が出てしまったりします。眠るのは20分程度の短い時間にとどめましょう。また、寝入ってしまわないように横にはならず、座ったままネックピローなどを使って頭部を固定して眠るのがおすすめです。
仮眠は1分以上でも効果がありますが、眠れないときには目を閉じてじっとしているだけでも構いません。午後のパフォーマンスを上げるためにも、休む時間を意識的に作りましょう。
仮眠できないときは?午後の眠気の解消法!
では、仮眠をしたくてもできる環境にないときには、どうやって眠気に対処したら良いのでしょうか。
ここからは、午後の眠気解消に効果的な対策を紹介します。簡単にできることばかりなので、ぜひ試してみてください。
1.昼ごはんを食べ過ぎない
食事の量は腹八分目にとどめ、食べ過ぎないようにしましょう。糖質を摂り過ぎないようにすることもおすすめです。
「おなか一杯で眠くなる」とよくいわれるように、たくさん食べると消化のために胃腸の血流がアップするため、脳に回る血流が減って眠くなります。また、血糖値の変動が大きくなることでも、眠気が出やすくなるでしょう。
2.体を冷やす
体を冷やすことも眠気対策に有効です。
眠気があるときは、副交感神経が刺激されている状態です。そこで、冷たいペットボトルなどで血管を冷やして収縮させれば、副交感神経の働きを抑えられ、眠気を防止できます。手のひらや太い血管のある首を冷やすと良いです。
また、冷却シートを貼ったり、冷たい水で顔を洗ったりするのも、体を冷やしつつ気分をリフレッシュできます。
3.カフェインを摂取する
眠気対策には、カフェインも摂るのもおすすめです。コーヒーや紅茶などを飲んで適量のカフェインを摂取すると良いでしょう。
カフェインは、脳を覚醒させるといわれています。摂取後30分程度経過すると覚醒するため、眠くなったら困るタイミングから逆算して摂取するのがおすすめです。
仮眠をするときは、直前にカフェインを摂っておくと、仮眠後にちょうどカフェインの作用があらわれるのでスッキリと起きられるでしょう。
ただし、カフェインは摂りすぎると健康に悪影響をもたらします。コーヒーよりも多くのカフェインが含まれる眠気覚ましドリンクやエナジードリンクなどを飲む際は、1日何度も飲まないようにしましょう。
4.アロマオイルを使う
アロマの香りは、脳に直接刺激を与えるいわれており、即効性が期待できます。中でも、眠気の解消には清涼感のあるペパーミントやユーカリ、グレープフルーツなどの香りがおすすめです。眠気対策だけでなく、疲れをリフレッシュしたいときにも使えます。
アロマオイルは、ティッシュやハンカチなどにオイルを1滴たらして香りを嗅ぐと良いでしょう。ほかにも、コンパクトなディフューザーを活用したり、アロマスプレーにして持ち歩いたりする方法もあります。周囲の環境の迷惑にならないよう、香りを有効活用しましょう。
5.体を動かす
昼食の後に、ウォーキングなどの有酸素運動をするのもおすすめです。運動で血液中の糖を消費することで食後の血糖値上昇を防げるため、眠気も抑えられるでしょう。食後1時間以内に15分程度運動すると効果的です。
運動できる環境にない場合には、その場から立って少し歩いたり、軽くストレッチをしたりする程度でも構いません。食後には体を動かすことを習慣づけられれば、眠気防止だけでなく健康維持の点でもメリットがあります。
根本的に解決するには睡眠の質を高めよう!
食後に眠いときの対策を紹介しましたが、根本的な解決方法は睡眠を十分にとることです。
睡眠時間は6時間以上を確保し、睡眠の質を上げるために、決まった時間に起床して朝日を浴びましょう。体内時計をリセットでき、起床や入眠がスムーズになります。
また、睡眠の質を高めるには、寝る前はリラックスタイムをとって心身を落ち着けることも大切です。少なくとも寝る1~2時間前には、強い光を発するスマートフォンやPCの画面を見ないようにしましょう。夜に液晶画面の光を見ると体内時計の遅れを引き起こし、なかなか寝つけなかったり、熟睡できなくなったりします。
まとめ
午後に我慢できないほど眠くなるのは、血糖値の急激な上昇や睡眠不足が原因のことが多いです。
対処法としては先に仮眠をとっておくほか、昼食を食べ過ぎないことや体を動かすことなどの対処法があります。どれも簡単なので、困ったときはぜひ試してみてください。
また、午後の眠気には睡眠不足が根底にあることも多いです。日頃から良質な睡眠をとるよう心がけることも解決策になります。