眠りが浅く、夜中に何度も目を覚ますことがありますか?もしも頻繁に眠りが浅いことが続くなら、それは枕が合っていないのかもしれません。
今回は枕と睡眠の関係と、自分に合った枕を選ぶポイントを紹介します。また、眠りが浅い原因に沿った枕の選び方も解説しますので、枕選びにお役立てください。
眠りが浅いのは枕のせい?合わない枕が睡眠に与える影響
買った枕に少々違和感があっても、「そのうち慣れるだろう」と思って使い続けることはありますよね。しかし、自分に合った枕を選ぶことは快適な睡眠のために欠かせないものです。
合わない枕を使うとどうなるのか、睡眠に与える影響を見ていきましょう。
特定の箇所に負荷がかかり熟睡できない
自分に合わない枕を使うと、無理な姿勢や首の動かし方をすることになります。長時間そのような状態でいると、首や頸椎、背骨、肩など体の広範囲に負荷がかかることになるでしょう。
特に眠っているときは筋肉がゆるむため、合わない枕を使っていると無理な姿勢で固定されることになります。その結果、血行不良になったり、場合によっては神経を痛めたりする原因になることも考えられます。
こうした状況から、特定の箇所に痛みが生じると、熟睡できず眠りが浅くなるでしょう。
寝返りがしづらく目が覚めやすい
一般的に、人は睡眠中に平均20~30回ほど寝返りをしているといわれています。20~30回と聞くとかなり多く感じるかもしれません。
しかし、寝返りを打つことで長時間同じ姿勢を取ることによる血行不良を防げるメリットがあり、睡眠中の寝返りは欠かせないものといえます。
スムーズな寝返りを妨げるのが、自分に合わない枕を使うことです。枕が合わないと自然な寝返りがしづらくなり、必然的に寝返りの数が減少します。
寝返りの数が少ないと、体圧によって血液やリンパの流れも悪くなり疲れやすくなります。寝具内の対流も生まれないため、湿度や温度が高くなり熟睡しづらくなるかもしれません。
また、体への負担がかかることで、寝苦しく感じることから目を覚ましやすくなるでしょう。
眠りの浅い人が枕を選ぶポイント
快適な睡眠のためには枕を注意深く選ぶことが大切とはいえ、枕には種類が多く、どれを選んだら良いか迷う方もいるのではないでしょうか。
そこで、眠りが浅い人が枕を選ぶポイントを紹介します。
寝やすい高さの枕を選ぶ
枕の高さは枕を選ぶ際にもっとも重要な要素です。素材やサイズ選びが適切でも、高さが合っていない枕だと熟睡するのは難しいでしょう。
枕は高すぎても、低すぎても良くありません。枕が高すぎると、頸椎や背骨のカーブが急なS字になり、首や肩に負担がかかります。その結果、首が痛くなったり、首や肩周辺の筋肉がこわばってしまったりすることになるでしょう。
一方、枕が低すぎると、頭が沈んで首のほうが高い状態、つまり逆U字カーブになります。そうすると、首に負担となるため、翌朝違和感があったり、痛みを感じたりすることになりやすいです。また、頭が低くなることから頭部に血液が停滞しやすく、むくみの原因となることもあります。
このように合わない高さの枕を選ぶと、眠りが浅くなりやすいほか、翌朝の不調にもつながります。理想は、普段直立しているときの状態と同じような状態で横になれる高さの枕を選ぶことです。
枕を購入する際は、実際に横になってみて高さを確認して選ぶと良いでしょう。
適切なサイズの枕を選ぶ
なるべく大きめサイズの枕を選ぶのがおすすめです。
大きめのサイズだと、寝返りをしたときに枕から頭が落ちる心配をせずに眠ることができます。就寝中に枕から落ちてしまうと、目が覚める原因となりますし、そのときは気づかなかったとしても、寝違えてしまって翌朝首が痛くなるかもしれません。
サイズとしては、セミダブル(50×70cm)やダブル(43×120cm)がおすすめです。「ベッドが狭いので大きいのはちょっと……」という場合でも、左右に寝返りを打つことを考えると、せめて頭3つ分のサイズの枕を確保したほうが良いでしょう。
首・後頭部・肩周りにフィットする枕を選ぶ
首や後頭部、肩周りに枕がフィットしていると、特定の箇所だけに負担がかかることがなく、負担を分散させられるので寝やすくなります。
仰向けで寝る場合は頸椎のカーブ、横向きであれば首から肩にかけての曲線が枕にフィットしていなければなりません。そうしないと、一部にだけ負担がかかって首や肩が痛くなりやすいです。
枕の標準的な形は長方形であるものの、実際にはハート型や波型など、さまざまな形状があります。形状によって以下のような特徴があるので、自分に合う枕選びの際の参考にしてみてください。
・ハート型
かわいらしいハート型は、首に負担がかかりにくいのが特徴です。眠っているときに首が痛い、首の凝りが酷いといった人は試してみると良いでしょう。
・波型
上下で高低差があるタイプで、首のS字カーブにフィットするのが特徴です。
・頚椎支持・横向き対応型
中身の素材の変更が可能で、そうすることで自分の好きな形に調節できるのが魅力です。
快適な素材を選ぶ
枕の素材は低反発ウレタンやマイクロビーズ、そば殻などさまざまですが、フィット感や通気性に影響を与えるのでよく選ぶことが大切です。
・高反発ウレタン・低反発ウレタン
高反発ウレタンは、やや硬めになっており、頭や首にフィットしやすいのがメリットです。低反発ウレタンは柔らかく沈みやすいため、全体的にフィットしやすいのが魅力といえます。いずれも体圧分散性に優れており、首や肩の痛み・こわばりの防止におすすめの素材です。
デメリットは、通気性が低いこと、そして洗えないアイテムが多いことです。特に夏場など汗をかきやすい季節は、衛生面が気になるかもしれません。
・マイクロビーズ
細かいビーズが頭の形に合わせて移動して頭を包み込んでくれるため、フィット感に優れています。しかし、特定の深さになると、そこからビーズが移動しにくくなって寝返りが打ちづらくなるのがデメリットです。
・そば殻
通気性に優れており快適に眠れるものの、フィットしづらいのがデメリットです。また、頭を動かすと音がするため気になる人もいるかもしれません。
これらの素材のほかにも、フェザーや高反発ファイバー、ラテックスなどさまざまな素材があるので、自分に合うものを探してみると良いでしょう。
眠りが浅い原因別!解決できる枕の選び方
眠りが浅い原因に合わせて枕を選ぶと、悩みを解決するのに役立ちます。以下を参考に、自分の悩みに合った枕を選んでみましょう。
ストレートネックで寝づらい
通常、頸椎はゆるいS字を描くものですが、頸椎が直線の状態になっているのがストレートネックです。スマホやパソコンを使う機会が多い人がなりやすいため、「スマホ首」とも呼ばれています。
ストレートネックになると、首の負担が増えることから、頭痛や凝り、手のしびれの原因となることもあります。
枕のせいでストレートネックになることはないものの、枕の高さが合っていないとストレートネックが悪化するおそれがあるため注意が必要です。
枕の高さが高すぎると、首が下へ向いている姿勢となり、首がストレートネックの状態になります。首が直線になるのを防ぐには、首が適度に後ろに曲がるような高さの枕を選ぶのがおすすめです。
よく寝違える
寝違える原因として考えられるのは、枕の高さが合わない、サイズが小さい、枕が頭や首にフィットしていないといった点です。
高さが合わない、フィットしないといった場合、首や肩に負担がかかりやすく、痛みやこわばりにつながります。枕のサイズが小さいと、頭が枕から落ちやすく、寝返りしにくいゆえに血行不良の原因になっている可能性があります。
よく寝違えるのが悩みなら、自然と横になれる形状で寝返りを打ちやすい十分なサイズの枕を選ぶと良いでしょう。
頭や首の寝汗が多い
頭~肩にかけて寝汗をかくのが原因で眠りが浅くなっているなら、通気性の良い素材の枕を選ぶのがおすすめです。通気性の良い素材には、そば殻やパイプ、アクアビーズなどがあります。
天然素材の生地を使った枕を選ぶと、汗をかいても快適に過ごしやすいです。逆にアクリルやポリエステルなどの合成繊維は吸湿性が悪く、汗をかくと熱や湿気がこもりやすいため寝汗をかく人にはおすすめできません。
また、洗濯機や乾燥機に対応した洗える枕を選ぶと、汗をかいても清潔に保てます。
肩や首が凝りやすい
睡眠中に寝返りがしづらいと、血行不良になって肩や首が凝りやすくなります。枕の両サイドが高すぎるもの、また頭が沈みすぎるものは、寝返りしづらいので避けましょう。
逆に少しの力でスムーズに顔の向きを変えられるような枕を選ぶと、寝返りしやすく首や肩の凝り予防につながります。
特に女性は頸椎のカーブが男性と比較して浅いため、低めの枕を選ぶのがおすすめです。そうすれば、首や肩にフィットして肩こりになりにくくなります。
いびきで目が覚める
いびきの原因は、上気道が狭くなってしまうことにあります。男性に多い悩みですが、その理由は男性のほうが頸椎のカーブが深いため、仰向けになったときに布団と首の間に隙間ができやすく、気管が狭くなりやすいからです。
いびきをかくと、脳へ届く酸素量が減少し睡眠の質が低下します。睡眠時無呼吸症候群につながる可能性もあり、注意が必要です。
いびきを解決するには枕の高さを見直すことが役立ちます。仰向けになったときに、顔が直線ではなく5度程度のゆるい傾斜がキープできる高さの枕を選ぶと、気道が確保しやすくおすすめです。
まとめ
眠りが浅いために熟睡できないなら、枕を見直してみるのがおすすめです。自分に合った高さ、サイズ、素材の枕を選ぶことで睡眠の質が大きく改善されるかもしれません。
まずは眠りが浅くなっている原因を見極め、それに合った対策ができる枕を選んでみましょう。