一緒に寝ている相手のいびきがうるさいと、眠れなくて困ってしまうものです。改善するには、相手と協力して正しく対処していきましょう。
今回は、いびきの原因から対処法をご紹介します。また、あわせていびきで注意すべき種類も解説していきますので、ぜひ参考になれば幸いです。
いびきがうるさい相手への対処法
いびきのメカニズムは、細く窓を開けたときに風の音が鳴るのと似たようなもの です。人は寝ている姿勢になると舌が喉の奥に下がってきて、さらに周りの筋肉も弛緩して、気道を細くします。細くなった気道に空気が通るとき、粘膜を振動させることでいびきの音が出るのです。
ここでは、いびきの原因となる空気の通りを解決するのにおすすめの対処法を紹介します。
横向きで寝かせる
仰向きの姿勢は、舌根がのどに落ち込みやすく、気道が狭くなっていびきがでます。横向きになれば気道に舌根の負担がかからなくなるので、いびきを防げます。
抱き枕を活用することで、横向きでの寝姿勢をサポートできるのでおすすめです 。
枕の高さを調整する
いびきがひどいときは、枕が合っていないことも考えられます。枕が高すぎると自然と首が前かがみになり、気道が狭くなっていびきをかきやすくなってしまいます。
とはいえ、枕が低ければいびきがでにくいというわけではありません。体格や骨格によって適切な枕は異なります。自分に合った高さ・素材の枕への買い換えも検討しましょう。
いびき解消グッズを使う
市販のいびき対策グッズを使うのも良い方法です。たとえば、鼻呼吸を促進するテープや横向き寝用の専用枕は、習慣となっているいびきの改善に役立ちます。
そのほか、専門機関を受診して、いびきを防止するマウスピースを作ってもらうのもひとつの方法です。いびきに悩む人向けに、頭のまわりに設置して騒音を防ぐドーム型枕もあるので、使いやすいものを選びましょう。
アルコール摂取を控える
寝る前のアルコール摂取を控えるのも、いびき対策に有効です。とくに寝酒が習慣化している人は、控えることで改善を目指せるでしょう。
また、たばこもいびきをかく要因になります。たばこの煙によって鼻やのどの粘膜に慢性的な炎症が起き、空気の通りが狭くなってしまうため、いびきをかきやすくなるといわれています。
こういった生活習慣を正すことはいびき防止のためにも大切です。
いびきがうるさい原因5つ
いびきは大きく分けて、散発性のいびきと慢性的ないびきの2種類があります。
「散発性のいびき」とは、一過性のいびきのことを指します。病的な要因でなるわけではなく、主に疲労やアルコールの摂取などが原因で発症します。
「慢性的ないびき」とは、就寝の際に常時いびきをかいている状態のことです。低呼吸や無呼吸とはいかずとも、気道が狭くなっていることから強い力で呼吸することにより睡眠が分断されるようなものもあります。
このように、いびきの原因はさまざまです。根本からの改善ができるよう原因を見つけ、改善を目指してください。
姿勢や口呼吸
仰向けで寝ていると、重力によって舌の根元が喉の奥に沈みます。その結果、上気道が塞がれて、いびきをかきやすいのです。とくに手を上に上げて仰向けで寝る、いわゆる『バンザイ寝』は顎が圧迫されて気道が狭まり、いびきをかきやすくなるので注意しましょう。
口呼吸も気道を狭くする要因です。気道が塞がれて空気の通りが悪くなり、いびきが出やすくなります。
疲労の蓄積
疲れがたまると、体は寝ているときでも多くの酸素を取り入れて回復に努めます。その結果、就寝時はより大量の空気が取り込める口呼吸をしやすい傾向があり、寝ているときにいびきがでます。
また、疲労が蓄積すると、口まわりの筋肉が緩み、舌根が喉に落ち込むことがあります。これも気道をふさぐ要因で、いびきの発生につながります。
風邪・鼻炎・花粉症
風邪や花粉症、アレルギー鼻炎といった鼻の症状が起きると、いびきをかきやすくなります。
鼻づまりや喉の腫れが起きると、空気の通りが悪くなるためです。とくに、花粉症などで慢性的に鼻がつまっていると口呼吸の習慣がつき、寝ているときにいびきがでやすいので注意しましょう。
とはいえ、鼻づまりによるいびきは一時的です。風邪が治ったり花粉症の時期が過ぎたりすれば、自然と解消するでしょう。
アルコールの摂取
アルコールには体の筋肉を弛緩させる作用があるため、就寝前にお酒を飲むといびきをかきやすくなります。これは、アルコールの働きによって舌根まわりや咽頭部分の筋肉が緩むからです。舌が喉の奥に落ち込んで、気道が狭くなりがちです。
また、アルコールを摂取すると全身の血行が促進するのも、いびきがでる要因です。大量の血液を流すために鼻の奥の血管が膨張し、粘膜が腫れて鼻がつまるのでいびきがでます。
睡眠時無呼吸症候群
いびきの原因で注意が必要なのは、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)です。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ているときに何度も呼吸が止まる病気で、医学的には、10秒以上呼吸が止まったり、呼吸が弱くなったりする状態をいいます。
睡眠時無呼吸症候群になると、寝ているときに上気道の筋肉が弛緩します。重力にしたがって舌根部や軟口蓋が喉の奥に落ち込み、狭くなった気道で粘膜が振動して、いびきが発生します。
睡眠時無呼吸症候群は自分では気がつきにくく、命に関わるリスクのある病気です。症状は睡眠時だけではなく、口や喉の渇き、慢性的な疲労感、日中の居眠りといった症状がみられるため、寝ているとき以外の様子にも目を向けてください。
軽度な睡眠時無呼吸症候群なら、マウスピースの装着でも治療が可能です。CPAP療法や外科手術が必要なケースもあるので、気になる場合は病院で受診して相談すると良いでしょう。
いびきをかきやすい人の特徴
いびきをかきやすい人の特徴もみていきましょう。すべてが当てはまるわけではないものの、傾向として理解しておくと、いびきの対処がしやすくなります。
首が太い・顎が小さい人
一般的に首が太くて短い人は、首まわりに脂肪がつきやすく気道が狭い傾向にあり、その分いびきをかきやすいといえます。
また、顎が小さいと口元の筋肉が弱く、緩みやすいので、睡眠時に十分に舌を支えられません。喉の奥へ舌根が落ち込み、いびきをかきやすいのです。
肥満体型の人
肥満はいびきの原因のなかでも約7割を占めているともいわれています。実際に、太ると首や喉に脂肪がつき気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
また、肥満体型の方は必要な酸素量が多く、呼吸の回数も増えていびきの音が大きくなりがちです。痩せると気道確保がしやすくなり、いびきも改善する可能性が高いので、肥満体型の人はダイエットで改善できるかもしれません。
年齢を重ねている人
年齢を重ねると舌や喉の筋肉が衰え、気道を保つ力も弱くなるため、いびきをかきやすくなります。とくに女性は、女性ホルモンの影響で加齢による変化が大きいので注意しましょう。
女性ホルモンには、気道を強く広げる作用があります。年齢が上がるほど女性ホルモンの分泌量が減り、気道が狭くなっていびきをかきやすいのです。
こんないびきには要注意!
子どもが慢性的にいびきをかくときは注意が必要です。子どもにとって睡眠は成長に欠かせない要素です。いびきが原因で眠りが浅くなると、成長ホルモンに影響が出ることがあります。さらに、いびきによって脳へ酸素が届かず、血圧に影響が出る可能性も否定できません。
睡眠時無呼吸症候群のリスクもあるため、たかがいびきと高を括るのはNGです。いびきがうるさいとき、長引く場合は、前向きに受診を検討してください。
まとめ
体質的にいびきをかきやすい人もいれば、アルコールや疲労の蓄積などの影響で、一時的に悪化しているケースもあるなどさまざまです。なかには病気が潜んでいる可能性もあるので、きちんと対処してください。
体をしっかり休めるためにも、睡眠は大切です。早めにいびきを改善して、熟睡を目指しましょう。