寝不足の状態だと、集中力が欠如して仕事の能率が下がってしまうものです。よく眠れず睡魔におそわれてしまった場合、どうやって乗り切ったら良いのでしょうか。この記事では、寝不足でも仕事を乗り切る方法や、寝不足を防ぐ睡眠のコツを紹介します。
寝不足でも仕事を乗り切る方法
寝不足の場合、仕事をしていても眠くなって集中できず、十分なパフォーマンスが発揮できません。仕事を乗り切るために、効果的な眠気覚ましの方法を紹介します。
適量のカフェインを摂取する
寝不足で眠いときに有効なのが、カフェインの摂取です。カフェインには覚醒作用があり、眠気を飛ばす働きがあります。低下していた集中力も戻り、作業効率が上がるでしょう。摂取より15分ほどで効果があらわれるといわれています。
カフェインが含まれるものとして、コーヒーやエナジードリンク、紅茶、緑茶などが挙げられます。
ただし、カフェインの過剰摂取は、心拍数の増加や吐き気、下痢などを引き起こすため注意が必要です。健康な成人の場合、1日400㎎(コーヒーマグカップ3杯相当)が目安になります。また、カフェインは耐性がつきやすいため、頼りすぎないことも大切です。
短時間の仮眠をする
どうしても眠気が取れない場合には、短時間の仮眠を取るのがおすすめです。短時間でも脳や身体の疲労が軽減されるため、寝不足のまま仕事を続けるよりも作業効率が上がります。
仮眠の時間は、15~30分程度がおすすめです。それ以上になると眠りが深くなってしまい、かえって目覚めが悪くなったり、夜の睡眠に影響をおよぼしたりするので注意してください。
ストレッチする
空いた時間に、背伸びなどの軽いストレッチをするのも効果的です。
眠いときは、体を休めようとする副交感神経が優位になっている状態です。体を動かすことで交感神経が優位になるので、眠気を飛ばしやすくなります。
また、体を動かせば血行が良くなるため、頭もすっきりします。ストレッチだけでは目が覚めない場合には、席を立って歩いたり、階段を上り下りしたりするのもおすすめです。
眠気覚ましのツボを押す
眠気が強いときには、眠気覚ましに効くツボを刺激するのも効果的です。手には眠気覚ましのツボが集まっているので、仕事中でも手軽にできます。ほかの人に気づかれることもありません。
主な手のツボは以下のとおりです。
・合谷(ごうこく):親指と人差し指の間のくぼみの部分
・労宮(ろうきゅう):手のひらの中心
・中衝(ちゅうしょう):中指の爪の生え際、親指寄り
呼吸を意識しながら、ほどよい痛みを感じる程度の強さでゆっくりと押しましょう。
このほかにも、目頭にある「睛明」(せいめい)や、首の後ろのくぼみにある「風池」(ふうち)なども目を覚ます働きがあります。
寝不足で仕事をするデメリット
忙しいときは寝不足になりがちですが、寝不足で仕事をするデメリットは想定以上に大きなものです。ここからは寝不足により生じるデメリットについて解説します。
仕事の効率や質が下がる
寝不足では、集中力・記憶力・思考力が低下します。
17時間以上起きている場合、パフォーマンスは血中アルコール濃度0.05%と同じレベルになるといわれています。ビールを1~2本飲んでいる状態と変わらないほどの酔いが回った状態で、仕事をしていることになるのです。当然、仕事の量・質にも影響があり、ミスや事故を招きやすくなるでしょう。
ストレスが増加する
睡眠は、疲労回復や免疫機能に関係するほかにも、感情を整理する役割も担っています。寝不足の状態では、蓄積したストレスの整理ができなくなるので、負担が大きくなるでしょう。
また、睡眠不足は蓄積され「睡眠負債」を抱えることになります。睡眠負債は心身の不調を引き起こすため、やる気が出なかったり、感情が不安定になったりなどの症状があらわれます。
生活習慣病のリスクが高まる
寝不足は、生活習慣病のリスクも高めます。
代表的なものは、高血圧です。寝不足が続くと、交感神経が優位な時間が続くため、血圧も高い状態が続きます。夜間にも血圧が下がらなくなり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる危険性もあるので注意が必要です。
また、寝不足の状態は血糖値をコントロールするホルモン「インスリン」の働きが悪くなるため、糖尿病の発症リスクも高まります。そのうえ、食欲を高めるホルモンが増大するため、肥満にもつながります。
寝不足を防ぐために睡眠の質を高めるコツ
寝不足には睡眠時間を確保するだけでなく、質も重要です。ここでは、睡眠の質を高めるコツを紹介します。
就寝の2~3時間前に入浴する
入浴は、就寝時間の2~3時間前がおすすめです。体の深部体温が下がったときに入眠しやすくなるので、入浴で一時的に体温を上げておくと、ちょうど就寝時間のタイミングで体温が下がり、眠気が来るようになります。
目安として、38℃程度のぬるま湯で30分程度の湯船に浸かるのがおすすめです。リラックス効果で副交感神経が優位になり、自然な眠気が促されます。
なお、お風呂の温度が高すぎたり入浴時間が長すぎたりすると、交感神経が優位になり、心身が覚醒して寝つきにくくなるため注意しましょう。
アルコールやカフェインを控える
アルコールやカフェインは、睡眠の質を低下させます。
アルコールの場合、一時的に寝つきは良くなるものの、時間が経つにつれて睡眠が浅くなり、夜中に目覚めてしまうことがあります。
また、カフェインは前述したとおり覚醒作用をもっているため、就寝前に飲むと寝つきにくくなります。
快眠のためには、白湯やホットココア、ノンカフェインのハーブティーなどの温かい飲み物を飲むと良いでしょう。
リラックスできる環境を作る
就寝前にリラックスすることも快眠に大切です。アロマを焚いたり、心地良い音楽を聴いたりするなど、心身ともに落ち着けましょう。
また、環境を整えるのも重要です。寝心地の良い寝具にこだわったり、寝室の温度や湿度を適温に保ったりすることも、睡眠の質を高めるポイントです。
寝る前にスマホを控える
寝る前のスマホやパソコンの使用も、睡眠の質を低下させる要因のひとつです。
寝る直前にスマホやパソコンの画面の光を浴びてしまうと、睡眠に関わるホルモン「メラトニン」の分泌が抑制されます。
メラトニンの量が減ると寝つきが悪くなり、睡眠が浅い状態になります。そのため、就寝1~2時間前には使用を済ませるようにしましょう。
軽くストレッチをする
寝る前にストレッチや筋トレなど軽く運動するのも、質の良い睡眠をとるのにおすすめです。軽い運動は、体の緊張をほぐしつつ、ほどよい疲労感が得られるため、寝つきが良くなります。
また、運動は仕事による肩こりなどの症状改善にも役立つのでおすすめです。
ただし、激しい運動はかえって目が覚めてしまうため注意しましょう。筋トレするときは大きく負荷をかけないことがポイントです。
まとめ
寝不足で仕事中に眠くなるときは、とにかく眠気を覚ますことが重要です。仮眠や軽い運動、カフェインなどを利用して乗り切るようにしましょう。
寝不足を防ぐには睡眠時間をきちんととるように心がけると同時に、睡眠の質を上げる生活習慣を取り入れましょう。寝る2~3時間前の入浴やストレッチなどの対策とあわせて、就寝前のスマホの使用やカフェイン、アルコールの摂取を止めることも重要です。