十分な睡眠が必要と思っていても、夜勤明け後うまく眠れずに悩んでいる人もいるかと思います。夜勤明けに寝られなくなるのはなぜなのでしょう。眠りにつきにくい理由や夜勤明けでもスムーズに入眠するためのポイントを紹介します。
夜勤明けにうまく寝られない理由とは?
私たちの睡眠のリズムや覚醒のリズムは体内時計で制御されています。1日は24時間ですが、人の体内時計は24時間より長いため調整が必要です。
通常は「朝日を浴びる」「食事をする」「運動をする」など、外からの刺激を受けることで周囲に同調し、体内時計のズレは修正されます。
夜勤は人本来のリズムに逆らった働き方であり、体内時計の調整が困難になることから、睡眠や覚醒リズムが乱れてしまうのです。
日勤と夜勤があるような交代勤務の人は、本来の睡眠や覚醒のリズムが乱れやすいことから交代勤務睡眠障害が見られることがあります。夜勤明け後に寝つけない、何度も覚醒するなど、睡眠時間の頻繁な変化で体の不調や睡眠障害などを生じる症状です。
スムーズに眠るために!夜勤前・夜勤中の過ごし方のポイント
夜勤明けに寝られない理由に挙げたように、交代勤務睡眠障害のような症状を防ぐには、体内時計のリズムをなるべく乱さないことです。ここでは、夜勤前と夜勤中で意識したい過ごし方のポイントを取り上げます。
夜勤前に仮眠を取る
夜勤前の午後に夜間の睡眠の先取りとして仮眠をしておきましょう。夜勤前に仮眠を取ることで、夜勤中の眠気を抑えることができます。
夜勤前の睡眠時間は90~120分くらいがおすすめですが、短い時間でも効果はあります。可能な範囲で仮眠を取っておくと良いでしょう。
夕方前までに仮眠を取るのがベストなタイミングです。
夜勤中にもできるだけ仮眠を取る
夜勤中に睡眠を取ると、夜勤中や夜勤後の疲労感を減らせるほか、夜勤明けに必要な疲労回復のための睡眠を短くできるので、夜勤中にも仮眠を取るのがおすすめです。
2時間ほど仮眠を取れるのが理想的なのですが、夜勤中では仮眠を取る時間をなかなか確保できないこともあるでしょう。ですが、短い時間であっても効果は期待できるので、仮眠が取れそうであれば、夜勤中もぜひ仮眠を取るようにしましょう。
また、概日リズム(サーカディアンリズム)により、22時から翌6時までが仮眠を取るのに良いとされています。中でも午前3時から6時の間は眠気を感じやすく作業能率が下がるとされますので、可能であればそういった時間帯を狙って仮眠を取ると良いでしょう。
食事の内容に気をつける
睡眠前の食事は睡眠の質に影響します。消化が悪いものを摂取すると、寝ている間も消化にエネルギーが使われ、十分に疲労回復ができなくなるためです。
油ものや香辛料などの刺激の強いもの、高カロリーなものは避け、できるだけ消化の良いものを取り入れるようにしましょう。消化の良いものとしては、おかゆ、豆腐、ロールキャベツ、温野菜、フルーツゼリーなどがあります。
ぐっすり眠って体力回復!夜勤明けの睡眠の取り方
ここまで夜勤前から夜勤中の仮眠のポイントや食事について紹介しました。それでは夜勤明けの睡眠についてはどのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。夜勤明けの睡眠のポイント4つを紹介します。
日光を避ける
日光には強い覚醒効果があります。夜勤明けに日光を目にすると寝られなくなってしまうことがあるので、夜勤明けはできるだけ日光を目に入れない工夫が必要です。
夜勤明けで帰宅するときは、サングラスをかけて日光を避けると良いでしょう。また、眠るとき遮光カーテンやアイマスクなどを使うことで、ある程度日光を遮ることができます。
眠る前のカフェイン・アルコール・タバコは控える
日光は覚醒効果があると紹介しましたが、同じく覚醒効果があるカフェインも避けたいです。夜勤明けでカフェインを含む食品や飲料を摂取するのは避けましょう。
カフェインに敏感に反応してしまう人は、寝る5~6時間前にはカフェインを摂取しないように心がけましょう。カフェインは、エナジードリンクやコーヒーなどに多く含まれているほか、紅茶や緑茶、ほうじ茶などにも含まれてものがあります。
アルコールに関しても寝る前の摂取は避けたいものです。アルコールを摂取することで入眠しやすくなるので、就寝前にお酒を嗜んでいる人もいるでしょう。しかし、時間が経つと眠りが浅くなり、睡眠の質が低下することがわかっています。
また、アルコールを飲み続けると次第に耐性がつくようになり、入眠効果も薄まってしまうので、アルコールは寝る前に飲まないのが無難です。
そのほか、ニコチンも刺激になって入眠を妨げてしまいますので、寝る前のタバコも避けるようにしましょう。
夜勤明けの睡眠は短めにする
夜勤明けの日中の時間をほとんど使って睡眠に充てるのは、あまり良い睡眠とはいえません。
夜勤明けの睡眠が長いと夜の睡眠に影響します。夜勤明けに睡眠を長くとってしまうと、夜勤前や夜勤中に眠れなくなってしまい、睡眠や覚醒のリズムが崩れてしまいます。
夜勤明けで必要な睡眠の長さは個人差がありますが、3時間程度を目安に短めの睡眠で切り上げると、夜に眠りにつきやすくなります。
どうしても3時間程度で疲れが取れないときは、そのときの体調を見ながら睡眠時間を取るようにしましょう。
また、夜勤明けの睡眠は午前からお昼ごろなど、できるだけ早い時間に取るのがおすすめです。
騒音を減らして寝る環境を整える
スムーズに入眠できるようにするためにも、睡眠のための静かな環境づくりが大切です。騒音のある環境のままでは眠りを妨げてしまうので、この場合は耳栓をして眠りにつくのが有効です。音の鳴るものはできるだけ近くに置かないようにしましょう。
また、配偶者や子どもがいるときは生活音などで眠れないということもありえます。眠りに集中できるよう、日中の過ごし方などを含めて家族にも協力をお願いしましょう。
夜勤をうまく乗り切るために!日頃の過ごし方で気をつけたいこと
夜勤明けで寝られない状況を改善するために、夜勤前や夜勤中の仮眠、夜勤明けの睡眠のポイントについて紹介しました。しかし、夜勤を乗り切り状況を改善するには、夜勤の日だけ睡眠に注意しようとするのでは不十分です。
状況を改善するためには、夜勤以外の日も体内時計のリズムを崩さない過ごし方を意識しましょう。
ここでは、日頃から意識しておきたい、体内リズムを整えるためのふたつのポイントを紹介します。
朝の光を浴びる
体内時計の周期は24時間よりも長く、1日24時間の周期と嚙み合いません。ですが、朝に陽の光を浴びることで体内時計は早まり、体内時計の周期を整えることができます。
体内時計を早めないままでいると、体内時計が後ろに徐々にズレてしまい睡眠にも影響してしまいますので、夜勤のない朝は日光を浴びるようにしましょう。
日光を浴びるのは起床直後が効果的です。朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を室内に取り込むようにしましょう。
規則正しい生活で睡眠リズムを整える
夜勤明けで寝られるようにするためにも、日々の生活を見直しましょう。できるだけ同じ時間に食事をすること、毎日短時間でも運動をすること、寝る1~2時間前に入浴すること、など規則正しい生活を送ることが大切です。
特に、適度な運動は、ぐっすり眠るために効果的とされています。ウォーキングやジョギングなどを日常に取り入れて生活習慣の改善を図りましょう。逆に激しい運動は睡眠を妨げてしまうので、注意が必要です。
ヨガやストレッチなどの軽い運動を就寝の30分~1時間前に行うと、質の良い睡眠を取りやすくなります。就寝直前は体を興奮させてしまうので控えましょう。
まとめ
夜勤明けで寝られないのは、夜勤の日の仮眠の取り方や夜勤明けの睡眠時間が影響しているかもしれません。また、日勤の日の過ごし方も夜勤明けの睡眠に影響を与えます。
夜勤明けの睡眠がうまくいかないときは、夜勤の日の仮眠や睡眠、夜勤以外の日の過ごし方を同時に見直すようにすると良いでしょう。